舟を編む
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2012年本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説を、『川の底からこんにちは』などの石井裕也監督が実写映画化。ある出版社の寄せ集め編集部が、気の遠くなるような歳月をかけて二十数万語が収録された新辞書作りに挑む姿をユーモラスに描く。辞書の編さんに没頭する主人公・馬締光也には、三浦原作の『まほろ駅前多田便利軒』にも出演した松田龍平。彼が一目ぼれするヒロインには、『ツレがうつになりまして。』の宮崎あおいがふんするほか、オダギリジョーら多彩な顔ぶれがそろう。
地味な世界を描いた作品ですが、物語の面白さと出演者の演技に魅了された映画でした。
松田龍平の感情を表に出さない無表情な雰囲気の主人公馬締を見事に演じています
宮崎あおいは、凜とした中にも温かさを感じる主人公を支える奥様を作り上げています
そして、今回、特筆すべきじはオダギリジョー。
個人的にあまり演技は上手いとは言い難い感じのオダギリが今回は、有り得ない、いい演技でした
オダギリ演じる西岡君。。。辞書編纂の仕事に魅力を感じていなかったところから、馬締との出会から次第に辞書編纂作業へ愛着が沸き、思い入れが強くなっていく様子を丁寧に表現しています。
他の部署に配転せざるをえない状況になってから後の、馬締たちをサポートする様子は「大渡海」への愛着と居なくてはならない重要な存在感が強く感じられる演技でした。
また、映像から感じ取れる15年という歳月の変化もまた素晴らしい。
辞書編集部のボードに貼られていた墨汁で「大渡海」と書いた紙が、年を経て黄色く変色していくようすがさりげなく映し出されているし、飲みニュケーションすると時に使ういつもの居酒屋のメニューが、年月と共に少しずつ変化していく様子が印象的でした。
また、下宿の大家さんや、大渡海の監修者の松本が他界した表現で、葬式や臨終のシーンは一切無く、その後の生活シーンですべてを想像出来る素晴らしい脚本でした。
最後のシーンで光也と香具矢が眺めた海は、大渡海がもつ壮大で壮麗なイメージと重なり、柱時計に12時の鐘の音を打たせるシーンから、12年後に繋ぐシーンは凄く洒落ていると思いました。
映画自体には、映像的にも音響的にもあまり華やかさはありませんが、さりげない優しさとお洒落な味を感じる事が出来、辞書が1冊が出来たときの感動がこちらにも伝わってくる秀逸な作品でした。
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