ツナグ

投稿日時 2012-11-05 23:37:59 | カテゴリ: 映画

ツナグ


http://tsunagu-movie.net/

第32回吉川英治文学新人賞に輝く、辻村深月の小説を実写化したファンタジー・ドラマ。死んだ者と生きる者の再会を仲介する使者“ツナグ”の見習いを努める高校生が、さまざまな依頼者の姿を目の当たりにして成長する姿を追う。『王様とボク』などの松坂桃李が主人公の歩美を好演、ツナグの師匠でもある彼の祖母を『わが母の記』の樹木希林が演じ、温かな掛け合いを見せてくれる。人と人のつながり、家族の絆、生死を深く見つめた物語もさることながら、佐藤隆太、桐谷美玲、八千草薫、仲代達矢といった豪華共演陣の顔ぶれも見ものだ。



普段ならスルーしてしまうこのての邦画作品ですが、今回凄く予告から興味をそそられて観賞。

〜映画公式サイトより〜
ツナグ(使者)とは―
それはたった一度だけ―、死んだ人と会わせてくれる案内人。
生きている人が会いたいと望む、 すでに死んでしまった人との再会を仲介する“使者”を表す言葉。


間違いなく心にぐっとくるものがあるであろう作品です。take1はグッときました。

死んだ人ともう一度会ってみたいと思う残された人のそれぞれの思いが切ないほど伝わってくる、いい物語ですね。
あの世という概念が存在するであろう日本人の感覚には素直に受け入れられる作品だろうし、あの世に行った人のもう一度会いたいという願望をちゃんと
満たしてくれています。何処かで、いつも自分は誰かに見守られているという感覚を思い切り味わえる物語で、観終わった後はきっと暖かい気持ちになれるでしょう。。。

現在最も旬な若手俳優であろう松坂桃李演じる歩美は主役でありながらそれぞれのドラマに邪魔にならず良い主役ですね。

突っ込みどころはありますが、ツナグに引き合わせてもらった3組のそれぞれのエピソードに奥行きを持たせ、普通の高校生でありながら、ひと組ひと組に感情移入ができる歩美の凄さに引き込まれました。

歩美を普通の男の子が背負っている暗い思いを引きずる気配も見せず、すんなりすっきりと演じていて、樹木希林がクセのある役を、この演技はあなただけでしょう、というはまり役で演じています。

そして、3組それぞれの再会以上にメインであり素晴らしいと思ったのが、幼い頃に両親を亡くした歩美と祖母アイ子の交わりです。

歩美と祖母アイ子の二人が囲む食卓が本当に美味しそうで和みました。

この映画に出てくる食卓のメニューに釘付け。
タジン鍋の蒸し野菜、きんぴら、目玉焼きを乗せたトースト、朝のコーヒー・・・・。フードスタイリストのセンスがいいですね。
食事をする二人の仲睦まじい空気。老いた祖母を労う歩美と孫を思うそれぞれの温かい眼差し。そして、食事のシーンなどで、二人の口から出てくる人生訓のような会話が良い。

ツナグの仕事に対するいろいろな疑問と葛藤で悩む歩美を優しく見守り、でも絶対に押し付けることはせず、丁寧にツナグの仕事をやっていく上での難しさを歩美に教えていくアイ子の深い愛。

やがて歩美が最後に自分自身で導きだす答え。
親の不可解な謎の死に対する自分なりの思い。
アイ子からツナグの力を伝授してもらう場面。
この先いつかツナグの力を借りて自分が会いたいのはおばあちゃんだという歩美の言葉。

そんな孫と祖母の温かい二人のコミュニケーションの一つ一つがぐっと心に染みました。

今年観た、忘れられない映画のひとつになりました。



ツナグを引継ぎ、全てを受け入れた歩美の優しく穏やかな表情がアップになった後、エンドロールとともに金環食が映し出されます。

太陽と月。
それは人の生と死の重なり合い
あの世とこの世の重なり合い

そこにツナグが存在しそれぞれが交錯するのかも?そんな思いをしつつ
そこに作品の中でアイ子が口ずさんでいた「最上のわざ」を、樹木希林が朗読する声が重なります。


『最上のわざ』

この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、 失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう。

若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、
謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、
親切で柔和であること。

老いの重荷は神の賜物、
古びた心に、これで最後のみがきをかける。
まことのふるさとへ行くために。

おのれをこの世につなぐ鎖を少しずつ外ずしていくのは、
真にえらい仕事。
こうして何もできなくなれば、
それを謙虚に承諾するのだ。

神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
それは祈りだ。
手は何もできない。
けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。

すべてをなし終えたら、
臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。

春秋社『人生の秋に』 ヘルマン・ホイヴェルス著より



〜追伸〜
JUJUが唄う主題歌『ありがとう』
直球ど真ん中。いい歌ですね。



ありがとう JUJU 歌詞情報 - goo 音楽
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND133798/index.html




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